先日、ふと郵便物を見ると裁判所から手紙が・・・・
開けるとびっくり、「会社法違反事件!!!」
何かやらかした?
内容をよくみると「役員の選任手続き」を怠ったこと(懈怠)による過料の決定通知でした。
驚きましたが、「あっ、やってなかった!」とすぐに気づきました。
そして、自分で手続き(電子申請)を行い無事に変更することができました。
同じ状況になってしまった方もいらっしゃると思いますので、自分で手続したい方への参考のために記事にしておきたいと思います。
裁判所から「会社法違反事件」としての手紙が届く
手紙の内容は「過料決定通知」でした。
役員の任期が終了して、法定の役員数を満たしていないのに、選任の手続きを行っていなかったいうことです。
義務を怠るという意味で、『懈怠』(読みは「ケタイ」)という言葉を使うそうです。
私の場合は一人会社(株式会社)で、自分が取締役の任期(最長10年)を1年強過ぎてしまったので、退任してしまっているということになります。
取締役の任期期間は、定款に記載していれば最長10年にできます。
10年の任期が終わるまでに「重任」(再度選任する)という手続きをすれば良かったのですが、失念してしまっていました・・・。
過料は3万円→すぐに支払う!
このミスによる「過料」(行政上の罰金)は3万円です。これは会社ではなく、代表取締役(個人)に向けた過料になります。
ちなみに手紙が届いてから1週間以内であれば異議申し立てすることもできます。
異議申し立てをしなければ裁判が確定して、「3万円の振込用紙」が送られてきます。
私のミスなので異議申し立てせず、振込用紙が届いてからすぐに郵便局で過料を支払いました!
一人会社ならば手続き簡単→基本的に電子申請で行える
司法書士の方などに依頼してもいいのですが、今回は書籍などを参考にしながら「自力」で行ってみました。
また、手続きができる法務局は遠方なので「電子申請」にて行いました。
支局は近くにあるのですが、本局でしか今回の手続きには対応していません→「なるべく電子申請して下さい」ということだと思います。
準備の段階で、最寄りの法務局の支局で「商業電子認証」のシリアルコードをもらう必要があります。
ただし、それ以外は、
- 遠方にある手続き可能な法務局に行くこともなく、
- 書類を郵送することもなく
電子申請で手続きが完了しました。
また、「退任した者が手続きできるのか?」という素朴な疑問がありますが、「退任しても手続き可能」です(行う責任があります)
手続きの際、登記関係の書籍に目を通しておくと慣れない用語などもスムーズに入ってくるのでおすすめです。
私が行った手続方法(手順紹介)
私が実際に行った方法を紹介します。
あくまで私の場合の手続きですので、詳しくは法務局や司法書士の方などにご相談ください。
基本的な手続き方法は法務局のホームページで確認できます。
ただし、今回の手続きは、普通に「役員重任」(再度選任する)わけでは無いので、HPに紹介されている事例から少し修正が必要になります。
「申請者情報の登録」と「申請総合ソフトのインストール」
電子申請のイメージは以下図の通りです。
まず、登記・供託オンライン申請システムのホームページにて「申請者情報登録」を行います。
また、「申請総合ソフト」をダウンロードして、インストールしておきます。
「申請者情報」を使ってログインすれば、「申請書の作成」「申請書の送信」などができるようになります。
ちなみに、「申請総合ソフト」のHPで、「PDF署名プラグイン」がダウンロードできますが、私は使いませんでした(そもそも32bitのAcrobatにしか対応しておらず、使えません:2022年5月現在)
「商業電子認証」(電子署名)を取得している方は、すぐに手続きをはじめられます。
私は取得していなかったので、「商業電子認証」を取得することからはじめます。
e-Taxを利用されている方などは、すでに取得されていると思います。
商業電子認証ソフトのダウンロード・インストール
商業登記をオンラインで行うには、「商業電子認証」が必要です。
この電子認証により本人が行っていることが証明されます(本人確認・改ざん防止)
取得するためにはまず「商業登記電子認証ソフト」ダウンロードしてPCにインストールします。
手順にしたがって「鍵ペアファイル」「証明書発行申請ファイル」の作成を行います。
「鍵ペアファイル」は、CD-RやUSBメモリなどに格納しておきます。
最寄りの法務局で、商業電子認証のシリアルコード取得
最寄りの法務局で、「電子証明書の発行申請」を行います。
「鍵ペアファイル」(USBメモリ)と「証明書発行申請ファイル」(紙)を提出します。
USBファイルはその場で返却されます。
電子証明書は無料ではなく、認証期間により手数料が必要となります。
私は、一番短い3ヶ月の証明期間を選びました。
3ヶ月の場合は発行手数料は1,300円です。ちなみに、長い期間にしたほうがお得になります(例えば24ヶ月だと8,300円)
20~30分ほどで「電子証明書発行確認票」を受け取ることができました。
「電子証明書発行確認票」に記載されたシリアル番号を、「商業登記電子認証ソフト」に入力すれば「電子証明書」(ファイル)をダウンロードできます。
申請用総合ソフトを使って書類作成
「申請用総合ソフト」を使って申請書類の作成や添付を行います。
基本的には法務局の
を参考にして行います。
ポイントを紹介すると?
「登記の事由」
「登記の事由」は、「取締役の変更」です。
「登記すべき事項」
申請ソフト上で別紙(登記すべき事項)を下記のように入力します。
- 「役員に関する事項」
- 「資格」取締役
- 「氏名」○○○○
- 「原因年月日」○○年○○月○○日退任←定款で示された取締の任期が終了した翌日
- 「役員に関する事項」
- 「資格」取締役
- 「氏名」○○○○
- 「原因年月日」○○年○○月○○日就任←今回選任した日
退任して、就任したことを明確に示す必要があります。
「添付書類」
添付書類の欄に以下を入力します。
- 株主総会議事録:1通
- 株主リスト:1通
- 定款:1通
※取締役の就任承諾書は株主総会議事録の記載を援用する。
添付ファイルは、「申請ソフト上で署名」して提出することができます。
定款(電子定款)は「定款のPDFデータ」と定款の電子署名に使われている登記所の「電子証明データ」(.xmlファイル)の両方を添付します。
電子定款でない場合は、手続きする法務局に定款の複製を送る必要があります(要確認)
「株主総会議事録」は以下のような内容を記載する必要があります。
- 定款に記載されている任期の翌日に任期満了で退任している。
- 改選を行い承認された。
- 就任を承諾した。
「株主リスト」は、法務省のホームページにフォーマットや記入例があるのでそちらを利用すると簡単に作成できます。
「定款」は、「電子定款」で作成している場合は、「定款のPDFデータ」と定款の電子署名に使われている登記所の「電子証明データ」(.xmlファイル)の両方を添付します。
電子定款でない場合は、手続きする法務局に「定款の複製を送付」(または持参)すればOKです(オンラインにより送信しない添付書面の提出→要確認)
申請用総合ソフトを使って申請
申請データの送信
「添付書類」や「申請書情報」に「電子署名の付与」を行ってから、「申請」(データの送信)を行います。
電子証明書のファイルを指定すればOKです。
手数料の納付
ネットバンキングで、「Pay-easy」(ペイジー)を通じて簡単に納付することができます。
今回は10,000円でした。
個人的には、収入印紙を買ったり貼ったりする作業が非常に煩わしいと思っていたので、電子納付の方が便利だなと感じました。
必要に応じて修正
「申請状況」や「修正指示」などは、「申請用総合ソフト」上で確認できます。
私の場合は、修正事項がなかったので無事に登記が行えました。
場合によっては、法務局から電話が入ることもあるそうです。
電子申請は非常に便利でした!→時間がない場合は?
このように、一人会社の場合は、「電子署名」さえ取得すれば自宅から簡単に手続きできます。
なので、同じように「役員選任を怠ってしまった!」という方は、この機会に自分で手続きしてみるのもいいと思います。
たとえ一人会社でも、今回のような「役員変更(重任)」のほか、「本店移転」「役員の住所変更」「商号変更」「目的変更」などさまざまな変更登記が必要な場面があります。
今回のように、書籍などで勉強して行う方法もありますが、あまりに時間や労力をかけるともったいないと思います。
本業がおろそかになる。
なので、「手間がかかりそうだな」「やる時間がない」と思う方は「司法書士」に依頼するほうが得策だと思います。
司法書士事務所はどこがいい?
お付き合いしている司法書士がいる場合はそちらでOKです。
いない場合は司法書士探を探すところからスタートです。
実は、司法書士との付き合いは結構ストレスがたまります。
なぜなら思っていたよりも費用がかかることが多いからです。
なので、個人的にはなるべく明朗会計な料金メニュー的なものが明示されている司法書士を探すべきだと思います。
個人的に法務局近くに事務所を構えている司法書士に安易に依頼して、料金面でどうしても納得がいかなかったことがあります。
もし、信頼できる司法書士とのお付き合いがない場合は、「GVA 法人登記」の
もちろん司法書士が監修していますし、料金表が明示されており、オンラインもしくは郵送で「安く・素早く・簡単」に役員変更登記などが行えますのでぜひ一度チェックしてみてください。
ただし、対応できないケース(複雑な登記)も一部あるそうなので詳細は下記リンクから確認してください。
まとめ
今回は「役員の選任手続き」を怠るというケアレスミスにより、「過料決定通知」をいただいて大変反省しています。
「会社法違反事件」という手紙を見て最初は慌てましたが、冷静になって調べたり勉強したりして手続きすればなんとか自分で変更登記できました。
ただし、「無駄な労力とお金」を使ってしまいました(本業が1週間くらいできませんでした)
今後は「オンラインの商業登記支援サービス」などを活用しながら、スマートに法人登記手続きを行っていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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