この記事では、3Dプリンターでマネキンヘッド(フェイス)を作ったときの感想やコツを紹介します。
きちんとしたサイズのマネキンは非常に高価なので、3Dプリンターでつくるのも「アリ」だと思っています。
そして、今回はじめて「肌色」のフィラメント(材料)を使ってみたのですが、これがかなり「リアル」で驚きでしたのでご紹介します。
この記事は、3Dプリンターがどんなものか興味のある方、3Dプリンターでマネキン(トルソー)やフィギュア作りをやってみようと思っている方などに向けた参考情報になります。
3Dプリンターは小道具づくりに活かせる
仕事上、色々な企業への試作品や広告のプレゼンが必要になり、プレゼンの際に使う小物を3Dプリンターで作ることがあります。
商品のアイデア・試作品の提案や、イベント会場のパースなど、提案内容をビジュアルでわかりやすくするために使います。
最近ではTV業界などでも多用されていますね。
たまに、マネキンやトルソーのようなものも作ることがあります。
例えば、イベント会場で使う衣装などをプレゼンするときなどです。
特にマネキンやトルソーは非常に高価なので、3Dプリンターのフィラメントを数本使ったとしても安く上がります。
100円ショップのダイソーなどにもマネキンヘッドがありますが、だいたいサイズが小さいので私の用途(リアルなサイズが必要)では使いにくいです。
しかも、660円とダイソーと思えないくらいの価格です。
なので今回も3Dプリンターで、マネキンヘッド(フェイス部分のみ)を作ってみたいと思います。
大手ネットショップでは、2000円弱である程度リアルなサイズのマネキンヘッドを取り扱っているみたいです(実は、結構お安くて良いものがあるんですね…)
3Dプリンターでの「等身大」マネキンづくりは大変
3Dプリンターでマネキンやトルソーを作るには、モデリングに時間がかかったり、3Dプリンターでプリント(出力)するときに時間がかかるなど大変です。
等身大などサイズの大きいものは、以下のような工程になります。
- まずCADソフトでモデリング。
- 3D プリンターの印刷範囲に入るように、データを分割。
- 1ピース毎にプリントしていく
- プリントしたものを接着剤でくっつける
- コテや溶剤で接合面をなめらかにする
- 必要な場合は塗装をする。
少しでも時間節約・工数削減したいので、ローポリゴン(カクカクした荒い直線形状)でつくることが多いです。
必要な部分だけ最小限でつくったほうがいいです(要らない部分は大幅カット)
今回は、視線計測器(アイトラッキング)関連の提案なので、眼鏡を装着したときイメージがわかるようなマネキンヘッド(フェイス)部分だけを作っていきたいと思います。
今回の「マネキンヘッド」(フェイス)づくりのポイント
今回はプレゼンで、本物のマネキンっぽいものが必要だったので、以下に気をつけて制作しました。
- 女性風のやわらかい形状のモデリング(リアリティ)
- フェイス部分のみつくる(必要な部分だけ。鼻は高くしたい)
- 肌色のフィラメントで出力(リアリティ・塗装工程削減)
- 薄肉化(プリント時間短縮・軽量化)
- 分割数を少なく(組立作業軽減)
- 3Dプリンターの印刷範囲を考慮(幅230mm奥行き150mm高さ150mm)
マネキンヘッドのフェイス部分を効率的にプリントする(2分割)には、幅200mm・奥行き150mm・高さ150mm以上の印刷範囲の3Dプリンターがいいと思います。
それより小さいと、リアルな寸法のマネキンヘッドをプリントする場合、分割数が多くなる可能性があるので注意が必要です。
ちなみに、男性の場合はの顔の大きさは平均で、横幅17cm縦幅23cm程度だそうです。
マネキン作りに大型の造形サイズがプリントできる3Dプリンターが必要です。
それでは、さっそくモデリングしていきます。
モデリングは「素材活用して時間短縮」
今回モデリングソフトはmodoを使います(もちろん他のソフトでもできます)
modoはモデリングが素早くできる高機能なCADソフトです。
軽快に動いてスピーディーなモデリングが可能なので、CADソフト初心者の方にもおすすめです。
興味のある方は体験版もありますのでチェックしてみてください。
今回はmodoに入っている素材を活用して作っていくことで時間短縮します。
まず、要らない部分をザクザクとスライスして切り取っていきます。
後頭部や顎のライン以下は切り取ってしまいます。
そして、厚みを着けます。
3〜5mm程度の厚みは必要です。
最後に、顔の上下半分くらいの位置で、2分割します。
これだけで完成です。10分程度でできました。
「マネキンを3Dプリンターでプリント」してみると?
完成した3Dデータを、3Dプリンターに送ります。
まずは、鼻より上の部分をセッティングしてプリントします。
そして、鼻より下の部分。逆さまにセッティングして、プリントします。
3Dプリントされたものを、接着剤でくっつければ完成です(継ぎ目はコテで少しならしました
プリント時間は2つのピース合計で、3時間以上かかりました。
使ったフィラメントは金額にして100円〜200円程度です。
実際には、プリント→モデリング修正を繰り返して、試行錯誤したので半日以上かかりました…
3Dプリントしたマネキンの完成度は?
眼鏡を掛けさせてみました。いい感じです。
肌色のフィラメントで、プリントしたままです。塗料で着色などしていませんが、ある程度の人肌感がでています。
肌色のフィラメントは、フィギュア制作される方なども使えるのではないでしょうか?
また、肌色フィラメントは、陰影もわかりやすいし、色々と試作を行う時のフィラメントとしてもおすすめです。
値段も高くないし、ノズルが詰まったりすることもありませんでした。
肌色フィラメントはよく売れているみたいですね。
今回マネキンヘッドのフェイス部分だけの制作でしたが、後頭部や耳もきちんと作ってみようかな?と思ってきました。
ウィッグ(カツラ)をのっけたり、目の部分を別のクリアな材質で作ると、さらにリアルなマネキンができると思います。
ただし、そこまですると、工数・手間がかかるので、普通のマネキンを買ったほうがいいのかもしれません。
ですが、自分の思い通りのものが試行錯誤しながら作れるので、3Dプリンターはやめられません。
3Dプリンターでマネキンづくりまとめ
- マネキンヘッドは頭部の素材を使えば、簡単にモデリングできる。
- マネキンヘッドのフェイス部分だけなら2分割でできるのでプリントも楽(プリンター印刷可能範囲注意)
- 5mmに薄肉化したのでプリント時間は3時間程度だった(マネキンヘッドのフェイス部分2部品)
- 肌色フィラメントはプリントしただけで、ある程度人肌に見える(塗装要らないかも)
- 肌色フィラメントは、フィギュアづくりなどにも活用できる?
- 使ったフィラメント代は200円程度。
- 3Dプリンターは自分の思い通りのモノづくりができるので超便利
3Dプリンターは、本来小物が得意です。でも今回のように、数分割程度でできるものなら、なんとか制作できますね。
また、今回はじめて肌色フィラメントを使ってみたのですが、フィギュア作りや、リアルな義手など、いろいろな使い方ができそうです。
ぜひ皆さんも3Dプリンターでマネキン作りや、肌色フィラメントでフィギュア作りなど挑戦してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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